電子工作etc
■ICレコーダーの入力特性(ICD-UX71)
★概要
最近、教会の礼拝時の賛美歌を録音するために、ICレコーダーを購入しました。
少しでも良好(狙いの音源に対して)に録音するために、内蔵のマイクではなく、外付けのマイクを自作しました。

ところが、実際に録音した内容を再生してみると、どうも飽和(saturate)しているような感じです。
そこでICD−UX71の取扱説明書を見てみますと、録音に関する項目で記載されている内容は、
・最大録音時間
・周波数範囲
・サンプリング周波数
・最小入力レベル
だけしか記載されていません。
知りたい内容は、
・入力インピーダンス
・最大入力レベル
なのですが、調べた範囲では、どうも掲載されていないようです。
★実験内容
手持ちの測定器を組み合わせて、ICD−UX71の、入力インピーダンスと最大入力レベルを調べることにしまし
た。尚、ICD−UX71には、外部入力として、マイク入力とオーディオ入力の2種類を選択することが出来るの
で、双方の入力時について調べてみました。

<実験回路>
入力インピーダンスは、基本的にはオームの法則で求めることが出来ます。
R=V÷I
R=V2÷((V1−V2)÷R1)
左側:発振器「ケンウッドAG−204」です。
右側:オシロスコープ「ケンウッドCS−5175」です。
左側:ミリバル「菊水AVM−13」です。
右側:ミリバル「サーキットデザインM−174」です。
★実験結果
<最大入力レベル>
オーディオ入力モードでは、入力レベル(V2)が600mV以下であれば波形は飽和しません。

オーディオ入力モードでは、入力レベル(V2)が700mV以上になると波形が飽和します。

マイク入力モードでは、入力レベル(V2)が60mV以下であれば波形は飽和しません。

マイク入力モードでは、入力レベル(V2)が70mV以上になると波形が飽和します。

<入力インピーダンス>
オーディオ入力モードでは、入力レベルが600mV以下であれば波形は飽和しません。
この時の入力インピーダンス(R)は、約6.7kΩになります。
V1=1500mV、V2=600mV
R=V÷I
6.7kΩ≒600mV÷((1500mV−600mV)÷10kΩ)

マイク入力モードでは、入力レベルが60mV以下であれば波形は飽和しません。
この時の入力インピーダンス(R)は、約4.3kΩになります。
V1=200mV、V2=60mV
R=V÷I
4.3kΩ≒60mV÷((200mV−60mV)÷10kΩ)

★所感
自作マイクの出力電圧を測定してみると、マイクの側で大声を出すと、何と100〜200mV近くになりました。
これでは、マイク入力の最大レベル(60mV)を大幅に超えてしまいます。
※特に教会の中では音が響くので問題です。
今回の実験結果より、教会の中で実際に録音する際には、マイクの後にアッテネータを取り付けてマイクからの
入力レベルを下げる必要があることが分かりました。
装置と装置を接続する際には、インピーダンスやレベルを最適にする必要があります。
今回の実験で、改めてその重要性に気づかされました。

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