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■RIAAイコライザ(CR型+オペアンプ)
  ★概要
    レコードプレーヤを4台、レコードを約300枚程度所有しています。
    最近のオーディオ機器には、フォノ(PHONO)入力端子が無いものが多いので、RIAAイコライザアンプを製作
    しようと思っています。
    そこで実際に製作する前に、回路シミュレーションで特性を測定してみることにしました。

  ★動作原理
    標準的なCR型RIAAイコライザとしました。
    そして、その前段と後段の増幅に、オペアンプを使用することにより、
      ◎前段 → 出力インピーダンス≒0Ω
      ◎後段 → 入力インピーダンス≒∞Ω
    となり、標準的なCR型RIAAイコライザーの回路定数(理想的な計算値)を適用することが可能となりました。

    今回は、2種類の回路でシミュレーションし、より良好な回路を採用しました。
     ・回路【A】は、前段で、11倍の増幅、後段で11倍の増幅 → 121倍増幅  ※推奨はこちらです。
     ・回路【B】は、前段で、101倍の増幅、後段で11倍の増幅 → 1111倍増幅

    ※回路シミュレーションには、テキサス・インスツルメンツのアナログ回路シミュレーション(TINA−TI)を使用し
      ました。

    ※シミュレーション上は、ライブラリの都合上、オペアンプには、RC4559を使用しましたが、実回路では、
      NJM4580を使用しました。性能的にはNJM4580のほうが、優れており良好な結果が得られました。

  ★回路図
    回路【A】の上部は、RIAA(CR型)の前段11倍増幅、後段11倍増幅の121倍増幅にした回路です。
    回路【A】の下部は、RIAA特性の比較用(理想系)の回路です。(この特性に近ければ近いほど良好と判断)
    <回路【A】>
     

    回路【B】の上部は、RIAA(CR型)の前段101倍増幅、後段11倍増幅の1111倍増幅にした回路です。
    回路【B】の下部は、RIAA特性の比較用(理想系)の回路です。(この特性に近ければ近いほど良好と判断)
    <回路【B】>
     

  ★動作確認
    シミュレーションの様子です。
    シグナルアナライザで10Hz〜100kHzまでスイープさせてみました。
     
    オシロスコープ、ファンクションジェネレータ、マルチメータも実装されています。
    回路の5箇所(V1、V2、V3、Va、Vb)を同時に計測できます。Auto機能があるので調整が便利です。
     

    回路図【A】の特性(1)
     
    回路図【A】の特性(2)
    10Hz〜30kHz位までは、概ね良好です。
    40kHz〜100kHz付近では、若干、利得不足(≒0.5dB)ですが、実用上は問題無いと思われます。
     
    回路図【A】の特性(3)
    上記の高域での問題は、オペアンプを11倍増幅で使用したときの、周波数特性によるものと考えられます。
    10kHzと100kHzでは、約0.3dBの差があります。
     

    回路図【B】の特性(1)
     
    回路図【B】の特性(2)
    10Hz〜20kHz位までは、実用上は問題がなさそうです。
    それ以上の周波数では、利得不足(≒8.5dB)が気になります。
     
    回路図【B】の特性(3)
    上記の高域での問題は、オペアンプを101倍増幅で使用したときの、周波数特性によるものと考えられます。
    10kHzと100kHzでは、約8dBの差があります。
     

    実測時の画像です。
    <全体>
     
    <電源トランス>
     
    <平滑部>
     
    <3端子レギュレータ部>
     
    <RIAAイコライザアンプ部>
     

    シミュレーション値と実測値(入力10mV実効値)の比較(小数点以下は四捨五入しました)
     <シミュレーション値> (RC4559)
       10Hz → 1190mV
      100Hz →  551mV
       1kHz →  123mV
      10kHz →   26mV
     100kHz →    2mV
     <実測値> (NJM4580)
       10Hz → 1200mV
      100Hz →  550mV
       1kHz →  123mV
      10kHz →   25mV
     100kHz →    3mV

    私なりの、結論としましては、NJM4580を使用した、RIAAイコライザアンプでは、増幅率は前段/後段共に、
    10倍前後で使用するのが効果的かと考えます。


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